KPTの本が読みたかったので、シンプルそうに思えたのでザッと目次を見て、購入を決めました。
KPTを知らない人のために説明すると、KPTは振り返りのためのシンプルなフレームワークです。
- Keep(継続して取り組むこと)
- Problem(現在抱えている問題点)
- Try(問題点を解決するための取組、Keepをさらによくする取組、新たな挑戦)
という3つにわけます。
次のサイクルに取り組んで、振り返りを行い、TryでよかったものはKeepに移し、Tryによって解決したものはProblemから削除、そして新たなProblem,Tryを追加して次のサイクルへ…というふうに、回していきます。ちなみに私はKPTって、ケーピーティーと読んでいたのですが、ケプトと読むそうです。
前書きを読み始めて気付いたのですが、この本、システム開発会社の永和システムマネジメントの中の人が書かれているのです。永和システムマネジメントといえば、アジャイルやスクラムで有名です。システム開発の現場で培われたKPTのノウハウですから、これは絶対にハズレではないなという予感はありました。
これだけ!KPTと書かれているように、最初にやることはとてもシンプルに書かれていて、明日からでもやってみたい!と思わせる内容です。また、ありがちなパターンについてもまとめてあるので、KPTやってみたいけれど上司を巻き込むのが難しい…とか、KPTを実践しているのに全然成果が出ない…というときには見直してみるといいのではないかと思いました。
序盤の内容など、まるでうちの会社のことではないか?と思ってしまうようなことがバッチリ書かれていて、かなり引き込まれました。チームが2つに分かれていて、新しいことに取り組んでいくチームと、保守的なチーム。そしてその2つは対立しているんじゃないか?というストーリーがあったのだけれど、KPTをしてみたところ、保守的なチームは忙しいがゆえに新しい事に取り組めていなかったというだけであり、チームをよくするための案がどんどん出てきて雰囲気がよくなっていったという話がとてもよかったです。
そして、よくありがちなのが、どうやってKPTを始めるか?というところですが、
「KPTという手法がありまして」
「ほう、どうなのだ?」
「かくかくしかじかで…」
「うーん、本当に効果あるのか?」
みたいなやりとりで時間がとられて結局できないとかがよくあるので、自然な流れでKPTを始める方法とかが載っています。これは前職でKPTをやっていたという弊社のあべさんに話してみたところ、説明に時間がかかるんだけれど、この流れはいいね!と言ってました。説得がほぼ要らないので、すごく参考になる内容だと思います。
また、KPTのアンチパターンについても説明があり、個人的にはそちらが勉強になりました。よくありがちなのが、
- Problemを解決しないTryを詰め込みすぎた、ワガママTry
- 振り返りがあまりできていない、計画先行
- 言い出しっぺの法則が発動するのを怖れてTryしない、言ったもの負け
- Problemが多くてTryが少なくなりなかなか解決されない、救われないProblem
という4つでした。特に、言ったもの負けは自分も身に覚えがあって、みんなで取り組まないと解決できないのに、「いいね!でも言い出しっぺだからやってね」と突き放されてさらに忙しくなってしまう、ということがありました。それもずいぶんお膳立てしても、周囲がそもそも取り組むのが面倒だからやってくれなくてポシャるということは、色んな現場であるんじゃないかなと思いました。
PDCAサイクルとの相性がいいことや、あまりKeep,Problem,Tryのそれぞれの話題が上がってこない場合はどうすればいいかなど、実践的なノウハウが詰まっているので、チームで振り返りを始めてみたいなと思っている人や、振り返りをやってみたけれどあんまり効果が見いだせていない人は、読んでみるべき本だと思いました。