日記:オープンセミナー2010@徳島に参加

土曜日にオープンセミナー徳島に参加してきたのでその模様をば。
今回のオープンセミナーのテーマは『オープン技術者とワークライフバランス』でした。

講演内容は以下の通り。

  • 「企業にとってのHacker-Centric Culture」
    楽天株式会社 吉岡 弘隆さん
  • 「僕の異常な就職活動 〜または僕は如何にしてESを書くのを止めてコードを書くに至ったか〜」
    KLab株式会社 坂本 和大さん
  • 「マイクロソフトにおける女性のワークライフバランス」
    マイクロソフト株式会社 オーディエンスマーケティングマネージャー 舟越 美宝さん
  • 「勉強会開催に必要なもの」
    中国GTUGマネージャー 横山 隆司さん

最初の楽天の吉岡さんは、勉強会を何度も主催され、若いハッカーの発掘や育成に精力的に活動されている方でした。講演の内容は以下のような感じでした。

イノベーションは企業ではなく、人が起こすもの。そのような優秀な人材が育つ土壌をどのように準備するか。有能な技術者は新しい事を知りたいという欲求があるのでセミナーに勝手に出かけていく。そこで同じような人達と出会い、繋がりができて、楽しくなり、モチベーションがあがる。

学生とかでも、中学生・高校生の頃にプログラミングに興味があるような人っていうのはおそらく学年に一人いたらいいほうで、そういう子たちも孤独を味わっている。しかし学生を対象にしたITキャンプを開催したら、全国から似たような連中が集まってきて、同世代で話が通じるのだから楽しくない訳がない。そしてリアルにすげぇ奴がいっぱいいるということを知る。
「自分は一人じゃないんだ」という気持ちが支えになり、またこういうイベントに来たい!と思うようになる。それが新たな価値を生み出すエンジンになる。

こういう活動から生まれた価値を企業や組織に還元されると、個人・企業ともに得られるものがある。例えば、社外で学んできた内容を社内勉強会に持ち帰り、社内でシェアすれば組織としても成長する。

また、オープンソースに積極的に関わることで、ハッカーにとって働きやすい環境を作る。Web屋さんは(開発者・サーバ屋さんともに)OSSを積極的に使い、不具合を直したり、ノウハウを共有したり、それらをコミュニティに還元したりしている。
企業として、ノウハウの流出を怖れて活動させないのではなく、そのような活動を行う個人をどう応援するか?まずコミュニティでの活動を応援する。また、日本の企業のエンジニアはなぜかハンドルネームで(プライベートを強調して)OSSに関わっているパターンが多くて企業としても勿体ないことをしていると感じる。そこで、会社の公なガイドラインを策定する(情報発信は、我が社のエンジニアとして発言してもらうというような)。

といいつつも、実は宴会がやりたくて勉強会やるけどどうだ?と声をかけたら見知らぬ30人が集まって異常に盛り上がったのが事の発端。やっぱり勉強会は(懇親会も含めて)楽しい!!

というような内容でした。(たぶんあってると思うけど…間違ってたらご指摘ください)

【追記】2010/10/27
吉岡さんのセミナーのスライドが公開されていました!
ありがとうございます!

次に、坂本さんの講演。これは学生のみならずフリーランスや転職組にも必ずためになる内容でした。

昨年(2009年)の9月からプログラミングを勉強して、3月にmixiアプリをリリース。その開発経緯をブログに公開し、仕事・就職先を募集したところ、その記事がハテブされまくり、実際に数社からオファーがあり、その中から企業を選んで就職したという話。

その勉強経緯が非常に戦略的である。内容は以下。

IT系の仕事をやろうとは最初から決めていた、と。そこで、普通に就職活動を行って一般的なSIerに入り、プログラミング研修を受けて…という道も考えたが、遠過ぎやしないか?と。本当に自分がやりたいのはそれか?と。
現在はブログやtwitterなどがあるのだがら、とにかくオープンに活動をしていれば、他の人や企業に見つけられるような場が存在する。そこからレスポンスが貰える。だったらもうコード書いてしまったほうが就職活動するよりも早いんじゃないか?というふうに考えが至った。
勉強する言語をphpとjavascriptに絞る。Amazonでレビューを見て良書を探し、詰まったらGoogleで検索して似たようなことを解決している情報を探し、twitterで最前線で活躍しているエンジニアからアドバイスを貰うことができたので、短期間で高速に成長できた。インターネットがあるのでそのような土台がもう既にある。

当時、mixiアプリがまだ情報も少なく、しかし流行りそうだった。またアプリはあっても質が悪いものが溢れていたので、それなりのものでも評価してもらえる=チャンス!と判断。そこで一行小説を思いついた。
まずプロトタイプを作成。しかし、一行小説といわれても何を書けばよいのかわからない。そこで、制限を設けた。タイトルの自動設定。プロローグの自動生成など。入り口があるのでユーザが何を書けばよいのかで迷わなくなった。

なぜこの就職活動が上手く行ったのか?それは、とにかく動くものを作り上げること。それを公開する場が存在したこと。mixiアプリに関する情報があまりない時期に記事をまとめる事ができたこと。そしてタイミングが良かった、と。

ここからは私の思うことですが、まずはその人がどのくらいのポテンシャルがあって、どんなものを作れるのか、伸びしろはあるのか等が、エンジニアを雇う際の重要な点になるかと思います。採用側がそれを知るには、どういう活動をしているかがオープンであればあるほど有利です。技術ブログを書いているというだけでなく、できればオープンな形で自らアプリをリリースしていること。これが一番の履歴書・経歴書になると思います。紙上に書かれている資格やほとんど実際には関わっていないかもしれない職務経歴書などはエンジニア採用側からすれば(業務の必須資格でない限り)、ほとんど参考になりません。
楽天の吉岡さんも言われていましたが、これはむしろ正攻法だと。自分もそう思いました。

坂本さんのハテブされまくった記事はこちらからどうぞ

さて次は、舟越さんの講演。
ワークライフバランスなので、まさに今回のテーマにドンピシャな内容でした。

マイクロソフトに入社して10年間のワークライフバランスの遷移に関してグラフで表現。入社したての頃は仕事一筋で忙しく、プライベートの充実度は低いままだった。その後、出産で休職。ここで子育てに専念し、プライベートの充実度が100%に。その後、復職・移動があって子育てしながらの慣れない職場での仕事でハードワークになったけれど、現在は周囲の人達の支えもあって、ちょうど良いバランスですという話でした。

ハードワークになってくると、あまり家庭の事が考えられなくなってしまうので、そういうときは一旦自分の気持ちを整理することが重要だということを強調されてました。なにが大事かを見失ったら、何のために働いているかもわからなくなりますしね…。

そして、バランスを取るために社内制度とテクノロジーを活用するというお話がありました。マイクロソフトは週に2日以内の在宅勤務が可能で、その在宅時の際にはLive Meetingを活用。自宅にいながらにして会議をしたり情報共有が可能であり、家で仕事をするうえでとても便利である。こういうテクノロジーによって在宅勤務しやすい環境も整っていると。たしかにそうだなと思いました。自分も遠方の方との会議はよくスカイプ会議やってます(マイクロソフトの技術じゃなくてすみません!)。
また、ワークライフバランスがよいと、生活が活き活きとするため、アウトプットの精度がよくなるということでした。

そして、舟越さん自身はマーケティング部門の方なので、マイクロソフトの技術部門の方達にワークライフバランスについてアンケートを取ってこられてて、それを公開してくれました。見る限り、非常にやりがいのある環境みたいだなと感じました。また、その中で「仕事をしないことがワークライフバランスではない。エンジニアはテクノロジーに触れているときが至福であるため、そのような機会を損失させるような強制力は鬱陶しい」という意見があり、すごく共感できました。たぶんこれはエンジニアだったら、みんな考えるところじゃないかなーと思いました。

そして最後は中国GTUGマネージャーの横山さんの講演。
ちゃんと聞いてほしいということで、twitterとUstream禁止ということでした。
ブログにはまとめてもよいと思いますので(勝手にですが)まとめます。

勉強会開催に必要なものは、やる気と場所とテーマ。
twitterやUstreamは別になくてもいいので、もし出来たらやる程度の考えでいい。

実際に講師を呼んだり、日程調節したり、場所を確保したり、告知したり、スポンサー付けたりするのは大変!これを実行委員長がやろうとしているのは失敗の可能性が高い。もっとうまく人に協力してもらうべき。
また、開催者がいないとイベントは開催できないのだから、我こそはという方は、なんでも自分のできることからでいいから、主催者をサポートしてあげてください!そして参加者の方々からアンケートなどにも意見がいただけると、次回の参考になりますし、参加者が希望するテーマを優先してイベントを行うことができます、と。

200人近くの参加者のイベントを成功させた元実行委員長の言葉というだけあって、非常にためになるお話でした。自分としても自宅で勉強会をやっているのだけれど、これが規模が大きくなると自宅でというのも難しくなっていくかもしれませんし、また初心者向けにハンズオンをやってみたいなとか考えていたので、考えなければならないことが多いなと改めて思いました。
まぁ、無理をしないようにやればよいというところでしたが、そうですね。
イベントの主催者にはなるべく協力していきたいと思います。

この後LTの司会で、メイドと猫娘が登場するなど、非常に盛り上がりました。
(なぜメイド?と思ったら、オーダーメイドというシステムのキャラらしい…が合ってる?)

懇親会もとても楽しかったです!!2日続けて飲み会で(まぁ僕はちょっとしか飲まないんですが)、いろんな話が聞けて、充実した2日間でした。やっぱり勉強会には参加したほうがいいよ!?と思います。楽しいし。


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