書評:小さなチーム、大きな仕事

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)
小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice) ジェイソン フリード デイヴィッド・ハイネマイヤー ハンソン 黒沢 健二

早川書房 2010-02-25
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業界では有名な37シグナルズの成功の法則の本。あのRuby on Railsの作者もいるチームで、少数精鋭で大きな仕事をなしているその仕事術を学びたくて購入。読んだ感想としては、勇気が湧いてきた。これに尽きる。

自分が日頃感じていた疑問に関して、見事な解が得られた気分。まぁ世の中この本の通りに全てがうまくいく訳ではないとは思うが、それでも非常に利にかなっている。小さく始めて、(システム規模を)大きくしすぎない。シンプルに保ちながら、その大きさに見合った顧客をターゲットにする。シンプルなシステムのため、お客様がシステムを使いこなせないで終わるということもない。お客様から感謝され、利益を受け取るという至って当たり前であると思われるモデルが、なかなかIT業界では起きにくい。曖昧・複雑な仕様、要求によって使いこなせないシステムを無理矢理使おうとして苦労するなど、よくある。複雑な仕様にはノーといい、そのお客様しか使わない仕様もノーという。勇気が必要だが、結果として多くの顧客を相手にすることができる。

読んでいる最中に周囲がいう常識について「よく考えてごらん?本当にそうか?」と話しかけられるように感じることすらあった。自分たちの正しさ、自分たちの方針にフォーカスを当て、周囲に振り回されない仕事術として、大変勉強になった。これはわがままになれという意味ではない。おかしいと思ったことは、やっぱりおかしくなるよということに自信を持てと。

「失敗から学ぶのではなく、成功から学べ」というのはすごく刺激的であった。普通は逆だ。しかしながら、成功したら成功パターンが見えるようになるから、次も成功しやすいのだという。失敗したら次は成功しやすくなるかと言われたらそういうことは特にないようだ。たしかにそれもそうだなぁと思った。しなくてもよい失敗はしないほうがいいに決まってる。問題は致命的な失敗はしないようにということなんだろう。あとは、小さな成功体験を積み重ねて波に乗る。充実した気持ちになって仕事に取り組められれば自然と生産性も増す。正のスパイラルを生み出すプロセス作りこそが、成功の素であるなぁと思った。

文庫本サイズのこの本に、ものすごい量のエッセンスが凝縮されている。エンジニアでない方にもオススメの本であるとは思うけれど、やはりエンジニアにこそ読んでもらいたい一冊である。


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