竹中式マトリクス勉強法を読んだ


久々に勉強法の本でも読んでみようかと思って読んでみました。
著者は竹中平蔵氏です。

マトリクス勉強法という部分は、最初のほうに説明があって、あとは竹中さんがどういうふうに勉強してきたかとか、知り合いの人の勉強する姿勢はどうだったとか、そういう内容でした。

マトリクス勉強法というのは、勉強を4つの領域にわけて考えるというアイデアでした。

天井がある勉強 天井がない勉強
人生を戦うための
武器としての
勉強
記憶勉強
仕事に関わる資格試験
仕事勉強
仕事に関わる勉強
人間力を鍛えるための
人と人を結ぶ
勉強
趣味勉強
人生を楽しむための資格試験
人生勉強
人生を楽しむための勉強

このマトリクスで、どの領域の勉強に力を入れるべきかをわかりやすくなるんじゃないかと思います。
武器が無さ過ぎるという自覚があるのであれば『記憶勉強である資格試験を有効活用して勉強して、ある程度のレベルになったら仕事勉強に移行する』とか、仕事勉強のみで限界を感じ始めているのであれば、『資格試験の勉強をすることで新しい領域を取り入れる』など、そのときに合った選択をすることができます。

とくに資格試験は記憶勉強なので、記憶勉強を叩き込むことで武器を強化することが比較的簡単です。その記憶勉強を効率的にやるにはどうしたらいいのか?などが書かれています。まぁ至極真っ当なことが書かれています…。私的には、ゴールから逆算してスケジュールを立てるというのを思い出すことができたのが収穫でした。最近あんまりできていなかったことなので意識していきたいと思いました。

あとは、英語の勉強の仕方とかは、参考になるんじゃないかなと思いました。日本人は圧倒的に英単語を知らないから、まずは英単語を叩き込まないとダメとか、暗唱をして五感で覚えろとか、そういうのでした。

また、片方からの見方しか知らないと、自分なりの正しい判断ができないとか。どっちの話も筋が通っている場合、どちらを信じるかの基準は自分が成長していないとわからないですね。片方からだけでなく、俯瞰的に物事を見つめる目はもちたいものです。

どこから勉強したらいいものか、とちょっと迷い気味な人にオススメな1冊かなと思います。


Raspberry PiでLEDを光らせるところまでやった


Raspberry Piの本体を手に入れてから、動かすところまでしかできていなかったので、このキットを買ってみました。電子工作を一回も経験したことのない私には非常にありがたいキットです。値段が妥当なのかどうなのかは、正直わかりませんが、1,700円で始められるんなら安いんじゃないかなと思いました。

このキットを買うと、商品と一緒に紙が同封されているのですが、その紙に、教材となるブログのURLが書かれています。そこに書かれている内容に則って、ブレッドボード上に回路を作ってLEDを光らせてみました。bash上で、思ったよりもあっさりとできてしまい、驚きです。
LEDを光らせたところ

スイッチも同梱されているのですが、スイッチを押している間は1、スイッチが離れていると0になるような仕組みもbash上でやることができました。
スイッチをつけてみたところ

電子工作自体が全く初めてなので、書いてあるそのまんまをやっただけで何かを理解したわけではないのですが、この延長上でものが作れたらとっても楽しそうです。引き続き、やってみようと思います。


「プレゼンテーションパターン」を読んだ


あべさんから借りてて、とてもためになりました。

いいプレゼンテーションにする秘訣が34のパターンにまとめられています。うまいプレゼンテーションを聞いたりすると、どういうところに気をつけて作ってるんだろうか?と疑問に思っていた部分が言語化されているので、ストンと納得できます。なお、全てのパターンを駆使する必要はないこと、なにか物足りたいと思ったらこれらのパターンで抜けているものを適用してみるなど、そういう使い方がいいんじゃないかと思います。

最初のほうに書かれていますが、プレゼンテーションは単なる伝達ではなく、創造の誘発であると言われています。
私がよくハマりがちなパターンは、気付いたら内容を盛り込みすぎて説明に終始してしまうようなものになってしまうものです。あと、前半に詰め込みすぎて後半アッサリした内容で終わりが薄くなってしまったりとか…。最初は意識して「やってみよう」という気持ちにさせることはプレゼン資料を作っているのですが、気付いたら「伝えよう、伝えよう」としてしまうことってあると思います。また、時間がなくてこれでいいやと中途半端にしてしまうこともあります…。

パターン毎に分かれているので、少しずつ読むことができます。
また、他の人の上手なプレゼンを聞いたり、資料を読んだときに、こういうことに気をつけているんだなとパターンに照らし合わせてみると、手法が明快になってきますから、自分なりに応用してやれるようになると思います。伝えることよりも、創造を誘発させる、という意識を忘れないために、プレゼン資料を作るたびにチェックしたい内容でした。

個人的にもこれは持ってきたい本ですね。


諦める力を読んだ

情報が氾濫していて、いろんな言語、いろんな技術が颯爽と登場していく現在、我々に必要なのはこの『諦める力』ではないだろうか?と思い、手に取りました。

著者は世界陸上のハードルでおなじみだった為末さんです。
ツイッターとかでも割と炎上していたりもするけれど、言ってることは筋が通っていて参考になるので、こういうまとまった形で読めるというのはいいことだと思います。

副題に「勝てないのは努力が足りないからじゃない」とあります。
大枠の内容をざっというと、大成した選手たちは、諦めなかったからうまくいったと全員言うのだが、その裏では諦めなかったがゆえに体を壊したり、ずっと結果が出ないまま30代半ばまでいってしまい、いざ辞めたらなにをしたらいいのかわからない、他の仕事になかなか就けないようになってしまったなど、そういう人のほうが大勢いるというのが現実である、という話でした。

諦める・辞めるというのは、ネガティブなイメージを与える言葉で、あんまりよくないです。為末さん自身は、18歳のときに100m走を諦めて、そこから400mハードルに転向したのですが、そのときも「自分は逃げたんじゃないか」という感情と向き合うのに苦労したようです。実際は100mのトレーニングの影響で、肉離れがよく起きていたことや、肉体の成長(身長とか)が止まったのでどんどんライバルに詰められていたことなど、いろんな要因があったのですが、当時は「諦めなければ夢は叶う」と思っていたので苦渋の選択だったようです。

その感情と付き合っている間に、本心を言語化することができたといいます。

「勝つ事を諦めたくない」

AをするためにBを諦めるという選択。Bという手段を諦めた。目的さえ諦めなければ手段は変えてもいいのではないか?というところが為末さんの一番言いたいところだと感じました。
一般的なビジネスの世界では、勝ちやすいところ(ブルーオーシャン)を探してそこに切り込むことはいいことだとされるのだけれど、スポーツの世界では、とくに日本では、勝ちやすいところを選んだというと「動機が不純である。それは単なる逃げだ」というふうに捉えられてしまいがちです。また、周囲の期待や、今までずっとやってきたというサンクコスト、もっと努力すれば…という願望などが、諦めるタイミングを誤らせてしまうとあります。

特に日本は『諦めることは恥』という刷り込みが強くあり、やめることに強い抵抗があること、努力すれば夢は叶う、叶わないのは本人の努力不足である、と感じてしまうということについてかなり書かれています。為末さん的には、そういう重圧で諦める機会を逸してしまう人たちに、諦めてもいいということを本当に伝えたかったのでしょう。

世の中は平等ではなく、生まれや才能の違いは努力ではどうにもならないところがあることにも触れています。才能の格差は必ず存在し、何もしてなくても速く走ることができたり、努力していなくても頭のいい人がいる。その事実は否定できないでしょう。そして、ある人にとっては苦痛なことでも、他の人にとってはそれは娯楽である。娯楽であるからいくらでも努力できる。そういう人に勝負を挑んでも到底勝つ事はできない、とも。

1つに賭けるのではなくいろんな可能性を探った方が、それによって才能が開花することもありますし、もっとやりたいことが出てくる事もあります。

また、とあるAとBの関連性は全くないということにも触れています。

「Aがダメだったお前が、Bをやってもうまくいくわけがないだろう」

というやつです。この前、上司「転職してもお前なんか通用する訳ない」←これ嘘だからというのを読んだのですが、本当にその通りなんですが、当事者は気を病むわけです。俺みたいなやつが転職して本当に通用するんだろうか?と。飽きたからやめた、でもいいじゃないかと言っているのは痛快です。

諦める技術というよりは、選択する技術、またその物差しについて書かれているなと思いました。あまり周りの目を気にしすぎず、自分本位で選択していってもいいんだよというメッセージだと感じました。自分で選択するのが苦手という人は手に取ってみるといいかと思います。


『これだけ!KPT』を読んだ


KPTの本が読みたかったので、シンプルそうに思えたのでザッと目次を見て、購入を決めました。

KPTを知らない人のために説明すると、KPTは振り返りのためのシンプルなフレームワークです。

  • Keep(継続して取り組むこと)
  • Problem(現在抱えている問題点)
  • Try(問題点を解決するための取組、Keepをさらによくする取組、新たな挑戦)

という3つにわけます。
次のサイクルに取り組んで、振り返りを行い、TryでよかったものはKeepに移し、Tryによって解決したものはProblemから削除、そして新たなProblem,Tryを追加して次のサイクルへ…というふうに、回していきます。ちなみに私はKPTって、ケーピーティーと読んでいたのですが、ケプトと読むそうです。

前書きを読み始めて気付いたのですが、この本、システム開発会社の永和システムマネジメントの中の人が書かれているのです。永和システムマネジメントといえば、アジャイルやスクラムで有名です。システム開発の現場で培われたKPTのノウハウですから、これは絶対にハズレではないなという予感はありました。

これだけ!KPTと書かれているように、最初にやることはとてもシンプルに書かれていて、明日からでもやってみたい!と思わせる内容です。また、ありがちなパターンについてもまとめてあるので、KPTやってみたいけれど上司を巻き込むのが難しい…とか、KPTを実践しているのに全然成果が出ない…というときには見直してみるといいのではないかと思いました。

序盤の内容など、まるでうちの会社のことではないか?と思ってしまうようなことがバッチリ書かれていて、かなり引き込まれました。チームが2つに分かれていて、新しいことに取り組んでいくチームと、保守的なチーム。そしてその2つは対立しているんじゃないか?というストーリーがあったのだけれど、KPTをしてみたところ、保守的なチームは忙しいがゆえに新しい事に取り組めていなかったというだけであり、チームをよくするための案がどんどん出てきて雰囲気がよくなっていったという話がとてもよかったです。

そして、よくありがちなのが、どうやってKPTを始めるか?というところですが、

「KPTという手法がありまして」

「ほう、どうなのだ?」

「かくかくしかじかで…」

「うーん、本当に効果あるのか?」

みたいなやりとりで時間がとられて結局できないとかがよくあるので、自然な流れでKPTを始める方法とかが載っています。これは前職でKPTをやっていたという弊社のあべさんに話してみたところ、説明に時間がかかるんだけれど、この流れはいいね!と言ってました。説得がほぼ要らないので、すごく参考になる内容だと思います。

また、KPTのアンチパターンについても説明があり、個人的にはそちらが勉強になりました。よくありがちなのが、

  • Problemを解決しないTryを詰め込みすぎた、ワガママTry
  • 振り返りがあまりできていない、計画先行
  • 言い出しっぺの法則が発動するのを怖れてTryしない、言ったもの負け
  • Problemが多くてTryが少なくなりなかなか解決されない、救われないProblem

という4つでした。特に、言ったもの負けは自分も身に覚えがあって、みんなで取り組まないと解決できないのに、「いいね!でも言い出しっぺだからやってね」と突き放されてさらに忙しくなってしまう、ということがありました。それもずいぶんお膳立てしても、周囲がそもそも取り組むのが面倒だからやってくれなくてポシャるということは、色んな現場であるんじゃないかなと思いました。

PDCAサイクルとの相性がいいことや、あまりKeep,Problem,Tryのそれぞれの話題が上がってこない場合はどうすればいいかなど、実践的なノウハウが詰まっているので、チームで振り返りを始めてみたいなと思っている人や、振り返りをやってみたけれどあんまり効果が見いだせていない人は、読んでみるべき本だと思いました。