書評:売れるデザインのしくみ

デザインについての考え方を学びたくて購入。
この本を読んで、とてもよかったと思う。著者がこの本の中で前に書いた本についても紹介していたので、Amazonで購入しといた。それもまた読むのが楽しみだ。

副題にあるのだが、「トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン」のトーン・アンド・マナーの重要性が語られている。トーン・アンド・マナーとは伝えたい雰囲気や世界観のこと(以降、トンマナと略す)。デザインによってサービスやプロダクトのイメージが決まってしまうのだが、デザインとは見た目のことだけではなくて伝えたいメッセージを視覚化したものであると。

そして、ブランドイメージの浸透には時間がかかる。コロコロと印象を変えるようなことをやってはならない。デザインとブランドマーケティングは表裏一体なので、ここがブレるとマーケティングも上手くいかなくなる。

デザインは商品なりサービスなりのコンセプトをかためていくところから参加できるほうがよくて、コンセプトがブレブレの状態で発注されても、いいものは出来上がらないらしい。というのも、方向性を決めて持っていっても、ステークホルダーに違うコンセプトのほうを重視するような発言をされてしまい、二転三転するうちにデザインに不信感を抱くようになってしまったりするそうだ。デザインする側も万能ではないので、後出しジャンケンのように違うコンセプトのことを言われると困るだろうし、まとめきれなくなるだろう。企画時から手伝ってもらえるとよさそう。

著者は、デザインは投資であるということを言っている。ブランドイメージを貯金のように少しずつ高めていくわけだ。そのために気にしないといけないことは、山ほどありそうだが、どれも納得がいく。オリジナリティーがないと、ブランドイメージはできないし、テンプレを使うということは、同じようなイメージのものがたくさんあるので、ブランドイメージが定着せずに埋もれてしまう。

後半は実践編で、よく聞くデザインのキーワードに関して取り上げてあった。写真の効果的な使い方・タイポグラフィ・グラデーション・アイコンやキャラクター・テクスチャー・コントラスト・ホワイトスペース・フォント選びなどなど…。
また、ウェブと印刷物を考える面でのことなどについても言及されていた。ほとんどRGBで済ませている自分にとってはCMYKの違いの話などはとてもためになった。

レギュレーション作り(トンマナを揃えるための具体的なシステムと、やってはいけない決まり)がとても大事という話もよかった。例が、外国の、街並みをの美観を壊さないように作られた建物だった。日本でもレギュレーションがあるところは守られているが、田舎のほうだと割とめちゃくちゃに建物が建っていて美観が損なわれていたりするから、そういうことが起きないようなルールと、やってはいけないルールを作ろうということだ(建物でいえば、この地区では3階建てはダメとか、洋風建築はNGとか)。

デザイナーの人が読んでもいい本だと思うし、よくデザインを発注する側や、なかなかブランドイメージを確立できずに悩んでいる人が読んでも面白い本だと思う。

今の時代はデザインとマーケティングはかなり近しい。ユーザーの目も肥えてきていて、ハイクオリティのものに慣れてしまっているので、トンマナがすぐに伝わるようなものでなければ、すぐにフィルターから外れてしまって見てもらえないのではないか?コンセプトやトンマナがぶれている状態で小手先の技術でマーケティングしようとしてもおそらく効果が出づらいだろう。

ノンデザイナー・デザインブックも面白かったけれど、この本も面白かった。ターゲッティングを考えたりする上でもまた読み返したい本だ。


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