書評:エンジニアのための時間管理術

エンジニアのための時間管理術
エンジニアのための時間管理術 株式会社クイープ

オライリー・ジャパン 2006-10-19
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starエンジニアではなくシステム管理者向け
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市立図書館に行ったらあと10分で閉まるとアナウンスがあって速攻で読みたい本を探したときに借りた本。宮脇書店にあって気になってはいた。

タイムマネジメントの本は色々と読んでいたのだが、いまいちしっくりくるものがなかったのだが、この本の前半を読んで納得。エンジニア向けじゃなかったんだ。もちろん全否定ではないけれど、エンジニアのタイムテーブルって時間割って感じではいかないので。

とはいうものの、本自体で断わってあるが、この本はシステム管理者向け。プログラマ向けのタイムマネジメントではない。それでも参考になる部分はたくさんあるので、斜め読みの気持ちで読んでも損はない。個人的には、リーダークラスの人間に読んでもらって、その人に仕事の配分をコントロールしてもらうようにしたらいいんでないかと思った。

SEはただでさえネットで調べ物をする機会が常人より多いと思うので、誘惑に負けないための道標が必要となる。誘惑に負けないために必要なのは、強い意志ではなく、道標なのだ。というか私は意志はそもそも誘惑に弱いという前提に立っている。
道標からずれないよう集中力をキープするために、PDAやPAAにToDoという名の道標を可視化しておく。余計な割り込みが入り込まないようにする。

3章でルーチンについて書かれている。ルーチンというと退屈なことのように思われそうだが、自分でやるべきことを半自動化(習慣化)することで、リスクを軽減することが説かれている。

11章で時間の浪費について書かれている。時間の浪費。これが一番多いんじゃないだろうか。やるかどうかで迷う。いつやるかで迷う。見るか見ないかで迷う。などなど。これらのことはルーチン化である程度処分することができると思う。それでもダラダラ迷ったり、目的のないネットサーフィン、興味のないテレビをなんとなく垂れ流したりしてしまう。見たいテレビはトルネに録って、そのときみたいものだけ見るようにしているので、本に書かれていたことは何気に実戦していた。それでも無駄な時間って多いなって思う。永遠の課題。

12章の文書化について。文書化というのは、13章に書かれている自動化と繋がっているので非常に大切な項目である。文書化には時間がかかるので非常に労力を使うのであるが、一度文書化できれば他人への教育コストが大幅に削減できる。また、自分の理解力も深まる。
文書化すると、その人が行う必要性がなくなってしまうのでお払い箱になるのでは?と勘違いしている人もいるみたいなのだが、わかりやすく文書化できる思考力がある人は文書化できた仕事は他人に任せて他の仕事を行うことができるので、より重宝されるはずだ。
ドキュメントを常に最新に保つというのが難しいのだが、この本ではWikiを薦めていた。自分もWikiがいいと思う。といっても最近はWiki使っていない。印刷までしないかつ、ほぼモニタの前から動かないというのであれば、Wikiでもいいのかもしれないが、自分はWordとSubversionを使ってる。

13章で自動化について書かれている。自動化ができれば大幅に時間(と作業プロセスに伴う思考の切り替え回数)を短縮できるので、投資効果は非常に大きい。だが文書化できる力がないと自動化は難しい。手動で行う方法を確立したのちでなければ自動化はできない。手動で行う方法を文書化すれば、半自動化できる(他人に依頼することができる)。当たり前のことなのだが、このあたりの思考が抜け落ちている人が結構多い。自分もあまり人のことは言えないが、自動化できることをルーチン化してしまうことは愚かなことだと思う。ほぼ思考停止だからだ。もっと生産的になれるチャンスなのに。

システム管理者の人でタイムマネジメントがうまくいっていないという人は絶対に一度は読むべき本であろうと思った。タイムマネジメントが下手なシステム管理者は壁にぶち当たるのも早いだろう。知り合いや後輩にも薦めたいと思った。


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